藤井洋平の1億9万二千76番目の夢。ばかやろう。

村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を冗長だなあ、とおもいつつも読み終えた。最初のほうはカフカをチャラくしたかんじの文章で、すごいとおもったのだけれど、だんだんそのチャラさが鼻についてきたり、とおもえば終盤はシリアスになったりなんだかよくわかんらんチン。印象に残ったのは「ねえコーリャ、君は将来とても不幸な人間になるよ。しかし全体としては人生を祝福しなさい」というドストエフスキーからの引用で、とても美しい文章だよね。短いながらもいろんなものが詰まっている気がするの、ミーチャ。ドストエフスキーは前の引越しのときにボロボロになっていたので捨ててしまったのだけれど、また読み返したいな、と殊勝なことをおもったのだった。一時期は大江健三郎が年始にドスエフスキーを読み返すというのをどこかで読んで、それの真似をしていたことがある(一体、俺はどこに向かっていたのだろう?作家になりたいとおもったことは一度もない。suckerになりたくもない)



次は何を読もうかと思案していると読みかけのまま失われていたPKDことディックの『ヴァリス』が俺の目の前に姿を現したので、続きを読んでいたけれど、やはりきつい。この本は狂気についてのお話で、ディックのお話はどこかしら狂気について触れているものだけれど、これは全編(とりあえず俺が読み進めた箇所までは)にわたって狂気について語られていて、それとエピファニー的なこととのコンボで攻めてくるため、読んでいるこちらの気が変になるし、気が滅入ってくるので読むのはやめようとおもった。抑鬱状態の人と話してるとこちらまでダウナーになってくるのに近い。



そして、今は春樹の『1Q84』のbook 2を書店で手に入れて読んでいるが、やっぱおもしろい。二人の主人公がいて、それぞれの物語がかすかにリンクしながら進んでいくという彼のお得意の手法で書かれているだけれど、一方の物語がもう一方の物語の主人公によって書かれた物語であるかもしれないと示唆する箇所(これは俺の読み違えかも知れないが!)があったりして、すげえな、とおもいながら読んでいる、が、すぐ読み終わりそうで悲しい。サスペンス。謎解き。アナルファック。



以上が、読書感想日記で、音楽はボブ・ディランの"It's Alright Ma"という曲を何度も聴いています



あいかわらず切れのない文章だな
地獄に堕ちろ!